中日ドラゴンズ研究室

何かしら頑張ろう

極端な守備シフトについて考える

メジャーリーグを中心にみられる極端な守備シフト。右の強打者なら二塁手が二塁ベース付近に寄り、二三塁間を狭めて一二塁間を大きく開ける。左の強打者なら左右対称のシフトをとる。また、長打を警戒する際に外野4人としたり、内野ゴロで本塁封殺を狙う際に内野5人としたりすることもある。日本のプロ野球でも度々見るが、この極端なシフトについて考えてみる。

 

右のプルヒッターを想定する。外野はやや後方を守り、二三塁間に二塁手、遊撃手、三塁手が深めに構えている。一二塁間には一塁手しかいない状況。引っ張りに警戒し、センターに抜けそうな打球でも二塁手が処理できる。ホームランバッターならば、シフトに限らず、フェンスを超す打球を打てばよいと考えているだろう。一方で、日本人の単純な発想なら、シフトでヒットが阻まれるなら、守備位置の甘い方向へのプッシュバントを試みるという作戦もできるかもしれない。これを企てることは少ないだろうが。

 

極端な守備シフトの欠点は、本来打ち取れた打球が誰もいないことで長打になる恐れがある点だろう。三遊間を詰めている際に、本来なら二塁ゴロで打ち取れるような打球が転がると、右中間を破り長打になる可能性がある。また、前述した通り、バントするなど思いがけない出塁を許すことも考えられる。

 

本ブログでは基本的に中日ドラゴンズのことを扱っているため、ここからはドラゴンズの事例で考えてみる。一例として、DeNA内野陣が、ビシエドの打席の際に二三塁間に寄っている例を挙げる。二塁手が二塁ベース付近で構えているため、9月4日の試合では、本来ならショートゴロと思われる打球がセカンドゴロになった。

 

ビシエドはパワー系の助っ人外国人の中では、器用なバッティングができる選手。左中間方向への長打が多いが、右方向に強い打球を打つこともあり、流し打ちでも魅せる。そんなビシエドであっても、DeNA内野陣は、ラミレス前監督時代からこのシフトで度々挑んでいる。ほぼ無人に近い右方向だが、このときのバッテリーもインコースを中心とする配球だったように感じる。実際にこのシフトが裏目に出たことは少なく、術中にはまることが多い印象がある。

 

中日守備陣の極端なシフトといえば、個人的には元日本ハムセギノールを思い出す。2007年日本シリーズ山井大介岩瀬仁紀さんの継投による完全試合で日本一を決めた試合で、左打席に立つセギノールに対して、遊撃手の井端弘和さんは二塁ベース付近に守っていた。投手の足元を抜ける打球を井端さんが捌くというシーンがあった。

 

あくまでも私は、賛成派でも反対派でもない。情報を多用している現在のプロ野球ならば十分な根拠がある上での作戦だろう。広いグラウンドを使う上に“定位置”という概念を持つスポーツならではの光景。今後の野球観戦の楽しみにすると、より面白くなるだろう。